サザンクロス~情報屋とコウノトリ Vol.3~

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いいも悪いも……トトは私を抱く腕を緩めようとはしない。 「あの……トト……?」 「俺が落ち着くまで……少しだけですから……」 それまでこうやって、ドアの前の床で抱かれてろと……? そう言いたかったが、トトの切なげで苦しそうな顔を見たら、何も言えなかった。 「……すいません。俺はおかしいんです。狂ってるのかもしれない……」 トトの苦しそうな囁き。 「……お嬢。どうかお願いです。俺から離れないで……いつまでも変わらないで……ずっとずっと俺のお嬢でいてください」 祈るような声。 「お嬢がお嬢でなくなったら……俺は……!」 「大丈夫」 トトの頭に手を当て、髪を撫で上げる。 「大丈夫。私がトトから離れるわけないじゃない。だって……トトは私が嫌だって言っても私にくっついてるんでしょう? どうやって離れられるのよ?」 昔交わした約束を口にする。 「……ああ。そうでしたね。俺はお嬢が嫌だって言っても側にいるって……」 トトの体が震える。 「だけど……それでも……お嬢。約束してほしい。俺を置いていかないで……」
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