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……この男ほど、詐欺だと思うものはない。
なんの話かと言えば、トトの話。
「……というわけですから、くれぐれも“自重”してほしいんです。昨日のようなことは……って、お嬢……聞いているんですか?」
……聞いてますし、わかってます。
何回も何回も同じことを言われておりますから。
「お嬢……」
「は、はいっ!? 聞いてますっ! 重々承知しておりますっ!」
「……本当ですか? なんか疑わしいんですけど。……だいたいお嬢は普段から俺の話をスルーすることが多すぎるんです。だから昨日だって、いや……昨日だけじゃありませんね。この間もそうです。俺があれだけ言ったにもかかわらず……」
うぎゃーっ!!!
めんどくさーっ!!!!
グリンダの店から出発して、はや2時間……。
わたくしドロシーは、ギリキン行きの車中にて、トトから説教を延々とくらっております。
それはもう、よどみなくず~っと。
昨日の騒ぎのことから始まり、一週間前のことや一ヶ月前のこと……はては一年前のことまで、よく覚えてたなということまで引っ張り出してきて延々と説教タイム。
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