1279人が本棚に入れています
本棚に追加
嗚呼……声を大にして突っ込みたい。
昨夜のあんたはどこにいったんだ、と。
えぐえぐ泣きながら、すがりついとった殊勝なあんたはどこにいったんだと。
「……お嬢」
「はいはいはいっ! 聞いてますともっ!」
だーっ!! 勘弁してくれっ!!
「まったく……。ん? あれは……」
さらに小言を続けようとしたトトが、前方を注意深く見ながら、車の速度を落とした。
道の真ん中で、コウノトリが大きく手……というか、羽根を振っていた。
トトがゆっくりと、コウノトリの横に車を止める。
「待ったで、待ったで~。お前ら」
窓を開けると、呑気な口調でコウノトリが話しかけてきた。
「こっから先は……って、ぐえっ!?」
何かを言い掛けたコウノトリの首根っこを掴み、素早く引き寄せる。
「何ふるねんっ!? 小娘!?」
コウノトリが文句を言うが気にしない。
「トトっ! コウノトリ、すっごく飛び疲れてるみたい。車に乗せてあげましょうよ」
「いや……俺様、別に疲れてへんで?」
「疲れてるわよねっ!?」
最初のコメントを投稿しよう!