サザンクロス~祈り Vol.1~

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嗚呼……声を大にして突っ込みたい。 昨夜のあんたはどこにいったんだ、と。 えぐえぐ泣きながら、すがりついとった殊勝なあんたはどこにいったんだと。 「……お嬢」 「はいはいはいっ! 聞いてますともっ!」 だーっ!! 勘弁してくれっ!! 「まったく……。ん? あれは……」 さらに小言を続けようとしたトトが、前方を注意深く見ながら、車の速度を落とした。 道の真ん中で、コウノトリが大きく手……というか、羽根を振っていた。 トトがゆっくりと、コウノトリの横に車を止める。 「待ったで、待ったで~。お前ら」 窓を開けると、呑気な口調でコウノトリが話しかけてきた。 「こっから先は……って、ぐえっ!?」 何かを言い掛けたコウノトリの首根っこを掴み、素早く引き寄せる。 「何ふるねんっ!? 小娘!?」 コウノトリが文句を言うが気にしない。 「トトっ! コウノトリ、すっごく飛び疲れてるみたい。車に乗せてあげましょうよ」 「いや……俺様、別に疲れてへんで?」 「疲れてるわよねっ!?」
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