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「どんな人?」
グリンダの話だけだと、あまりわからないうえに、気難しそうな印象だったから聞いてみる。
「せやな……。一言で言うと“デレのないツンデレ”」
…………は?
「いや、それじゃよくわかんないんだけど……」
ていうか、やっぱり気難しそうな印象なんですけど。
「ま、会ってみればわかるわい」
グリンダと同じことを言う。
「もう! そればっかりなんだから! ねぇ、トト?」
ちらりと私を見るが、返事はない。
……こっちはこっちでまったく!
私の何か言いたげな視線に気づいたのか、トトがばつが悪そうに笑顔を向けた。
「あ……いや……そうですね……。その先生は、俺の知ってる人にちょっと似てますね」
「トトの?」
「ええ」
意味深に笑うトト。
誰だろう?
トトは笑うだけで、答えてくれない。
「お。そこを右折してくれ」
コウノトリがトトに指示を出した。
「もうちょいで着くで。お前ら」
徐々に、コウノトリが指した家に近づいていく。
それから3人とも無言のまま、車は走り続けた……。
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