サザンクロス~祈り Vol.1~

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男が苦しそうに地面に倒れ伏す。 間髪入れずに、後ろから金属バットを持った男が襲いかかってきた。 「危ないっ!!」 思わず叫ぶ。 ほとんど同時に、白衣の男がくるりと振り返り、鞘で金属バットを受け止める。 流れるようなスピードで、刀の柄を首に叩きこみ、息をついた。 そのあまりに見事な動きに魅入ってしまう。 「帰れ」 もう一度、白衣の男が静かに言い放つ。 「今度は手加減しない。帰れ」 一人残っている男に、刀を向ける。チャキンという刀を持ちかえる音。 「わからないのか? 今度は殺す気でいくから帰れと言っている。それとも……死にたいのか?」 メガネの奥の瞳が妖しく光る。 「う……うわっ! うわあぁぁっ!!!」 弾かれるようにして、男がバイクの方に向かった。 地に倒れ伏していた男達も、よろよろと這いつくばるようにして、逃げ出した。 派手な爆音をさせ、砂煙をたてながらバイクが走り去って行った。 残ったのは嵐の後の静けさ。 「ふん」 白衣の男が、鼻をならしながら刀を鞘に収めた。
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