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男が苦しそうに地面に倒れ伏す。
間髪入れずに、後ろから金属バットを持った男が襲いかかってきた。
「危ないっ!!」
思わず叫ぶ。
ほとんど同時に、白衣の男がくるりと振り返り、鞘で金属バットを受け止める。
流れるようなスピードで、刀の柄を首に叩きこみ、息をついた。
そのあまりに見事な動きに魅入ってしまう。
「帰れ」
もう一度、白衣の男が静かに言い放つ。
「今度は手加減しない。帰れ」
一人残っている男に、刀を向ける。チャキンという刀を持ちかえる音。
「わからないのか? 今度は殺す気でいくから帰れと言っている。それとも……死にたいのか?」
メガネの奥の瞳が妖しく光る。
「う……うわっ! うわあぁぁっ!!!」
弾かれるようにして、男がバイクの方に向かった。
地に倒れ伏していた男達も、よろよろと這いつくばるようにして、逃げ出した。
派手な爆音をさせ、砂煙をたてながらバイクが走り去って行った。
残ったのは嵐の後の静けさ。
「ふん」
白衣の男が、鼻をならしながら刀を鞘に収めた。
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