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「物騒な先生やな~。殺す気でいくやなんて」
おどけたように、コウノトリが白衣の男に近づく。
「ん? お前は……」
「おひさーやね。先生」
「グリンダのところのマンチキンか……。あれは脅しただけだ。モグリとは言え僕は医者だ。本当に殺すわけがないだろう。瀕死の重傷を負わせて、後で治療をするつもりだった」
「尚物騒やわ!」
「ああいう輩にはあれくらいが丁度いい。僕がモグリだからといって、足元を見た挙げ句、薬を奪おうと襲いかかってきたんだからな」
そこまで言って、白衣の男が私を見た。
「で、連れがいるようだが……」
「ああ。姐さんから聞いてるやろ? こいつらは……」
コウノトリが私達を紹介しようとした時、トトがすっと前に出た。
「お久しぶりです」
「お前は……」
「何年振りですかね……。ギルバート=クロウバッハ先生……」
トトが深々と頭を下げる。
「トトか……。今更……捨てた名前を呼んでくれる奴が現れるとはな……」
白衣の男がトトを見ながら、皮肉気に笑った……。
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