サザンクロス~祈り Vol.1~

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「物騒な先生やな~。殺す気でいくやなんて」 おどけたように、コウノトリが白衣の男に近づく。 「ん? お前は……」 「おひさーやね。先生」 「グリンダのところのマンチキンか……。あれは脅しただけだ。モグリとは言え僕は医者だ。本当に殺すわけがないだろう。瀕死の重傷を負わせて、後で治療をするつもりだった」 「尚物騒やわ!」 「ああいう輩にはあれくらいが丁度いい。僕がモグリだからといって、足元を見た挙げ句、薬を奪おうと襲いかかってきたんだからな」 そこまで言って、白衣の男が私を見た。 「で、連れがいるようだが……」 「ああ。姐さんから聞いてるやろ? こいつらは……」 コウノトリが私達を紹介しようとした時、トトがすっと前に出た。 「お久しぶりです」 「お前は……」 「何年振りですかね……。ギルバート=クロウバッハ先生……」 トトが深々と頭を下げる。 「トトか……。今更……捨てた名前を呼んでくれる奴が現れるとはな……」 白衣の男がトトを見ながら、皮肉気に笑った……。
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