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「そうだったけ?」
「そうでした! 帰ってくると嬉しそうに駆け寄ってきて、お帰りって抱きついてきて……。あのかわいらしいお嬢はどこに行ったんですかねぇ?」
そう言いながら、嫌味ったらしくため息をついた。
私こそ言いたいよ。
昨日のあんたはホント、どこに行ったの?
「おい」
突然、白衣の男――ギルバート先生が声をかけてきた。
「さっきから、二人で何をこそこそと話している? 早く中に入れ」
見れば、いつのまにかギルバート先生とコウノトリが、玄関ドアの内側からこちらを見ていた。
「ああ。はい。今行きます」
トトと私は家の中に入る。
「適当に座ってくれ」
入ってすぐ、待合室兼治療室になっている。
義父さんの診療所よりも作りは小さい。
「え~っと……座れとおっしゃいますが……どこに?」
トトが困ったように、苦笑いした。
部屋の中はものすごいことになっていた。
ひっくり返ったソファーにベット。
散乱しまくっている薬瓶や薬品、メスにハサミに包帯類。
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