サザンクロス~祈り Vol.1~

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「そうだったけ?」 「そうでした! 帰ってくると嬉しそうに駆け寄ってきて、お帰りって抱きついてきて……。あのかわいらしいお嬢はどこに行ったんですかねぇ?」 そう言いながら、嫌味ったらしくため息をついた。 私こそ言いたいよ。 昨日のあんたはホント、どこに行ったの? 「おい」 突然、白衣の男――ギルバート先生が声をかけてきた。 「さっきから、二人で何をこそこそと話している? 早く中に入れ」 見れば、いつのまにかギルバート先生とコウノトリが、玄関ドアの内側からこちらを見ていた。 「ああ。はい。今行きます」 トトと私は家の中に入る。 「適当に座ってくれ」 入ってすぐ、待合室兼治療室になっている。 義父さんの診療所よりも作りは小さい。 「え~っと……座れとおっしゃいますが……どこに?」 トトが困ったように、苦笑いした。 部屋の中はものすごいことになっていた。 ひっくり返ったソファーにベット。 散乱しまくっている薬瓶や薬品、メスにハサミに包帯類。
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