1279人が本棚に入れています
本棚に追加
ガラスの割れた窓から風が吹き込み、カーテンがはたはたと捲り上がる。
机の上で散乱している書類やカルテがばさばさと舞い上がった。
ギルバート先生が面倒くさそうに頭を掻き、無言でひっくり返ったソファーを起こしながら私達を見た。
「……ここに座れ」
そう言って、自分は机に備え付けられている椅子を引き寄せ座った。
「相変わらずという感じですね……先生」
トトがそう言いながら、私に座るように促した。
相変わらずな感じって……この先生、普段からこんな感じなの?
「すまんな。茶のひとつでも出してやりたいが、少々散らかってるんで勘弁してほしい」
先生が私を見ながら、そう言った。
“少々”なんてレベルじゃないでしょう。これは。
「いえ。お構い無く」
それしか言葉が出ない。
「に……してもだ」
先生が椅子にもたれかかり足を組む。
「グリンダから『あんたがよく知ってる子をそっちに行かせたからよろしく❤』とは言われてたが……まさかそれが教え子だったとはな……」
最初のコメントを投稿しよう!