サザンクロス~祈り Vol.1~

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ガラスの割れた窓から風が吹き込み、カーテンがはたはたと捲り上がる。 机の上で散乱している書類やカルテがばさばさと舞い上がった。 ギルバート先生が面倒くさそうに頭を掻き、無言でひっくり返ったソファーを起こしながら私達を見た。 「……ここに座れ」 そう言って、自分は机に備え付けられている椅子を引き寄せ座った。 「相変わらずという感じですね……先生」 トトがそう言いながら、私に座るように促した。 相変わらずな感じって……この先生、普段からこんな感じなの? 「すまんな。茶のひとつでも出してやりたいが、少々散らかってるんで勘弁してほしい」 先生が私を見ながら、そう言った。 “少々”なんてレベルじゃないでしょう。これは。 「いえ。お構い無く」 それしか言葉が出ない。 「に……してもだ」 先生が椅子にもたれかかり足を組む。 「グリンダから『あんたがよく知ってる子をそっちに行かせたからよろしく❤』とは言われてたが……まさかそれが教え子だったとはな……」
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