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「ふん……」
トトから受け取った封筒から、先生が書類を出し、ゆっくりと目を通す。
「アヘン……ね。8歳の子供が使う代物じゃないだろう」
「使ったのは母親です。使用目的は痛み止め」
先生がちらりとトトを見るが、無言のまま、再び書類に目をやった。
「反オズを掲げるレジスタンスの一員なんですよ。母親は」
「なるほど。ワケありの親子か……。僕にぴったりの患者だ」
書類を膝に置き、ふんと小さく笑う。
「金は誰が払う?」
「また、単刀直入ですね」
「当たり前だ。こちらも慈善事業をやっているわけじゃない」
「これを」
トトがもう一つ封筒を手渡した。
「出どころは?」
先生が封筒の中を見ながら、トトに聞く。
「オヤジです」
「ヘンリー博士というのは、随分とお人好しな先生なんだな。行きずりの親子の治療費を払ってやるとは……いや、立派な先生と言うべきかな?」
嫌味ったらしく笑顔を向ける先生に少しカチンときた。
「私が頼んだから」
先生が私の方を見る。
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