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「私が義父さんに無理を言ったから……だから……」
「なるほど……お人好しなのは娘の方で、父親は娘に甘いだけってわけか……」
さらに皮肉を込めて笑う。
「な……!?」
すかさず反論しようとした時、トトが口を挟んだ。
「お嬢とオヤジのことは置いといて、依頼……受けてもらえますか?」
先生がトトを一瞥しながら、封筒を突き返した。
「断る」
にべもない一言。
「金が足りない」
さらに容赦のない一言。
「言っただろう? こちらも慈善事業をしているわけじゃないと。これでは全然足りない」
トトの膝の上に封筒をぽんと置いた。
「他をあたるんだな」
そう言いながら、先生が椅子から立ち上がろうとした。
「いくらならいいの?」
「何?」
先生の動きが止まった。
「いくらなら……引き受けてくれるの?」
先生を見つめながら、もう一度聞く。
「なんだ? 足りない分はお前が払うっていうのか?」
先生が面白いといった口振りで、私に問いかけた。
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