サザンクロス~祈り Vol.1~

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「私が義父さんに無理を言ったから……だから……」 「なるほど……お人好しなのは娘の方で、父親は娘に甘いだけってわけか……」 さらに皮肉を込めて笑う。 「な……!?」 すかさず反論しようとした時、トトが口を挟んだ。 「お嬢とオヤジのことは置いといて、依頼……受けてもらえますか?」 先生がトトを一瞥しながら、封筒を突き返した。 「断る」 にべもない一言。 「金が足りない」 さらに容赦のない一言。 「言っただろう? こちらも慈善事業をしているわけじゃないと。これでは全然足りない」 トトの膝の上に封筒をぽんと置いた。 「他をあたるんだな」 そう言いながら、先生が椅子から立ち上がろうとした。 「いくらならいいの?」 「何?」 先生の動きが止まった。 「いくらなら……引き受けてくれるの?」 先生を見つめながら、もう一度聞く。 「なんだ? 足りない分はお前が払うっていうのか?」 先生が面白いといった口振りで、私に問いかけた。
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