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朝のちょっと寒い空気の中で、毛布にくるまってまどろんでいるこの時間が大好きだ。
寄せては反す、夢の波。暖かくてほのかに切ない感じのするこの感覚が……。
「お嬢」
…………ちっ。また来やがった。
「お嬢、いい加減起きてください」
「……あと5分」
「そう言って、30分たちました」
「じゃ、あと30分」
「……なんで25分も足すんですか」
「あと5分って言って、30分起きなかったから」
「わけわかりませんよ。……はぁ~。仕方ありませんね」
ベッドから遠く足音。諦めたのかな?
うん。諦めたんだよね。諦めたに違いない。
よしっ! あとはとことんぐだぐだしていよう! そしてお腹が空いたら起きよう。自然の摂理の赴くままに。自分の体に正直に。人間はそれが一番だ。そして幸せだ……。
トントントントン。
……? 足音?
ガチッ。ジャキッ。
ガチッ? ジャキッ?
これって撃鉄を起こす音……。
瞬間、私は枕の下に隠してた自分の銃をとりだし、かまえた。
私の目の前で、銃を突き付けている人物に油断なく銃口を向けながら……。
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