虹の向こうに~プロローグ~

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「……んで、誰かさんにめっちゃ怒られたと」 ジープを運転している、端正な顔立ちをした男が話に入ってきた。 「……よくわかったわね、アル」 ジープの運転手――アルがははっと笑った。 「わかるよ~」 「もおぉ~、これ以上ないくらい怒られてさぁ~。トラウマになっちゃって。それ以来、虹はちょっと……って感じ」 「あはは! 目に浮かぶなぁ~。なあ、トト?」 ドロシーの隣に座っている黒服の男――トトにアルが話を振る。 しかし、トトは黙って彼方の虹を見ていた。 「おいおい。無視ですか? お母さん?……まぁ、いいや。……でも、虹の向こうに行きたくて家出かぁ~。ちょっとわかるな」 「ホント?」 「ああ。子供の頃ってさぁ、そーゆー冒険したくなるもんだよね。俺も似たようなことしたなぁ~」 「アルも家出したことあるの?」 「いいや。俺の冒険はね、家の屋根から飛び降りたこと」 「……何して遊んでたのよ。……あんた」 「弟達と賭けをしたんだよ。絶対大丈夫だと思ったのに、両足折って、絶対安静。母親に怒られるわ、弟達に1週間おやつをとられるわ、散々だったなぁ~」
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