1279人が本棚に入れています
本棚に追加
/604ページ
「……んで、誰かさんにめっちゃ怒られたと」
ジープを運転している、端正な顔立ちをした男が話に入ってきた。
「……よくわかったわね、アル」
ジープの運転手――アルがははっと笑った。
「わかるよ~」
「もおぉ~、これ以上ないくらい怒られてさぁ~。トラウマになっちゃって。それ以来、虹はちょっと……って感じ」
「あはは! 目に浮かぶなぁ~。なあ、トト?」
ドロシーの隣に座っている黒服の男――トトにアルが話を振る。
しかし、トトは黙って彼方の虹を見ていた。
「おいおい。無視ですか? お母さん?……まぁ、いいや。……でも、虹の向こうに行きたくて家出かぁ~。ちょっとわかるな」
「ホント?」
「ああ。子供の頃ってさぁ、そーゆー冒険したくなるもんだよね。俺も似たようなことしたなぁ~」
「アルも家出したことあるの?」
「いいや。俺の冒険はね、家の屋根から飛び降りたこと」
「……何して遊んでたのよ。……あんた」
「弟達と賭けをしたんだよ。絶対大丈夫だと思ったのに、両足折って、絶対安静。母親に怒られるわ、弟達に1週間おやつをとられるわ、散々だったなぁ~」
最初のコメントを投稿しよう!