虹の向こうに~望郷 Vol.2~

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――あの日の夜……。 私は、ヘンリーおじさんの部屋に行った。 子供心にお父さんの様子がおかしいと感じ、ヘンリーおじさんに聞けば、何かわかるかもしれないと思ったのだ。 そして、ヘンリーおじさんの部屋の前で、お父さんとヘンリーおじさんの話を聞いてしまった。 ――“オズ”に戻るだと!? バカな……。自殺行為だぞ!? ――そうかもしれんな。……だが、俺はどうしても“エルファバ”を見捨てられない。 ――あの子達はいいのか!? お前がいなくなったら、あの子達は……! ――だから、無理を承知でお前に頼みたいんだ。あの子達のことを。 ――ホントに無理難題いいやがって……。はぁ~。古い親友の頼みでなきゃ、即追い返してやるとこなんだが……。 ――すまない。俺もお前だから、安心してあの子達を預けられるんだ。あの子達もお前になついている。お前なら、いい父親になってくれるだろう。 ――他人事みたいに言いやがって。知らねぇぞ。俺に任せて、とんでもねぇヤンキーとあばずれに育っても。 ――はは、それはちょっと困るな。 ――それが嫌なら、とっとと用を済ませて……戻ってこい。 ――……ああ。
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