虹の向こうに~望郷 Vol.2~

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……お父さんが、どこかに行ってしまう? トトとドロシーを置いて? どうして? お父さんは、トトとドロシーとずっと一緒にいてくれるんじゃないの? “お母さん”も一緒に来てくれるから……4人でずっとずっと一緒にいようって……お父さん、そう言ったじゃない!  お父さんは、嘘をついたの!? 心の中がぐちゃぐちゃになって、今にも部屋に飛び込んで、お父さんにいろんな事を聞きたいのに、聞くのがとても怖くて。 結局、トトのいる部屋に行って、黙ってトトにしがみつく。 ――お嬢? どうしたんですか? 答えることが出来ず、トトに抱きつき、ただ泣いていた。 それを困ったように、優しく笑いながら、トトが背中をさすってくれる。 ――お嬢。大丈夫です。俺はお嬢とずっと一緒にいますから。 トトの落ち着いた、優しい声。 トトは、何か知ってるの……? でも、聞けなくて。 ――ホントに? ホントにずっとドロシーと一緒? ――ええ、お嬢が嫌だって言っても、引っ付いてますから。 ――うん。 そのまま、トトに身を委ねる。
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