虹の向こうに~望郷 Vol.2~

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その日の夜は、トトの側で泣き疲れて眠るまで、トトがずっと、背中をさすってくれていた……。 でも、やっぱり私は、本当のことが知りたかった。 だから、次の日の夜、黙って出て行こうとするお父さんを見つけて、置いて行かないでと、それが出来ないなら、一緒に行くと縋りついた。 でも、お父さんはどちらもダメだとそう言った。 ――頼む。ドロシー。お父さんの言うことを聞いてくれ。トトと一緒にヘンリーおじさんのところで、待っていてくれ。 ――……いや。いやだ! 絶対いやっ!! ――ドロシーっ!! お父さんが大きな声を出す。 ビクッと肩を震わせ、それでも泣きながら、お父さんに訴える。 ――……だって、だって……おとうさん……もし、帰って来なかったら……? ドロシー……一人になっちゃうよ……。やだ……よ。 ひくひくとしゃくりあげながら、お父さんにしがみ付く。 ――大丈夫。ドロシーにはトトがいる。それにヘンリーおじさんがドロシーのお父さんになってくれる。 ――ヘンリーおじさんが?
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