虹の向こうに~望郷 Vol.2~

8/14
前へ
/604ページ
次へ
「どんくさいアホオヤジのせいです」 トトがもう一度、ため息をつきながら、それでも油断なく女性を睨みながら、そう答えた。 「あっ、てめえっ! 責任転嫁するか? お前の車の運転のせいだろ!?」 「俺はきっちり避けました! だいたい、あんな飛び出し方されて避けられたのは、俺の運転テクの賜物ですっ! 問題はその後っ! なんで、簡単に女性から銃を突き付けられちゃうかなぁ~。あんた、一応男でしょう?」 「あっ! 差別的発言っ! お前、それ女性蔑視だぞ! なあ、今の聞いた? ドロシーちゃん? あいつサイテーだよね?」 ……と、義父さん。なんか話が脱線しかけてるし、子供が心配なんだけど……。私……。 「……要するに、その女が車の前に飛び出してきて、子供を治療しろ……。そうヘンリー様を脅してるわけですね。……恐らく、その女は反オズを掲げるレジスタンスか何かですね?」 エムが女性を睨みながら、義父さんにそう言った。 「おお。……よくわかったな。エム」 ……いや、私もわかったけど。義父さん。……なんとなくだけど。 「……っるさいっ!!」 女性が銃をかまえ直し、またヒステリックに叫ぶ。
/604ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1279人が本棚に入れています
本棚に追加