虹の向こうに~望郷 Vol.2~

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女性が銃を義父さんのこめかみに押し付けた。 そして、私達に向かってこう言った。 「いいかいっ!! あんた達……ちょっとでもおかしな真似してごらんっ!! この男をすぐに殺すからねっ!!」 「……そしたら、この子を誰が診るんだよ。お前さん、馬鹿か」 義父さんが呆れたように、口を挟む。 「屁理屈言うんじゃないよ!」 「ヘンリー様、我慢も限界です。この女……叩き出してもよろしいですか?」 エムが怒気をはらんだ口調で、女性にゆっくりと近づく。 「……エムさん。俺も手伝いますよ」 様子をみていたトトも行動に出だした。 そして、私は………… 「…………いい加減にしなさいっ!!!!!」 ……ぶち切れちゃいました。 びたりと、皆の動きが止まる。 すかさず、皆のところに行って、一人づつ指で眉間を弾いた。 いわゆる、“デコピン”。 「……っ、ドロシー様!?」 「てぇっ! ド、ドロシー!?」 「いつっ! お、お嬢!?」 「……つぅっ!……な、な、な……!?」 それぞれが眉間を押さえ、あっけにとられているが、かまわない。
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