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「それから、そこのあなたっ!」
いつのまにか銃を下ろして、呆然としている女性に向き直る。
「あなた、義父さんに自分から子供の治療を頼んだのよね!? だったら、信用できないとか言わないっ!!」
「いや……お嬢。“頼んだ”というより“脅した”なんですがね……」
「トトは黙ってて!!」
「……はい」
「たしかに、義父さんっていい加減そうに見えるし、言ってることもいい加減っぽいから、あなたが信用できないっていうのはわかんないでもないわ」
「ドロシー……。ひどいなぁ~。パパのことそんなふうに見てたの? パパ、ショック」
義父さんが、治療室から顔を覗かせた。
「義父さんも黙ってて! て、いうか、早く治療にかかって!!」
「はいはい」
「“はい”は一回!!」
……まったく。こっちは必死だってのに。
「……医者ってね、患者から信用されてその力を発揮出来るものだと思うの。私」
女性の目を見ながら、真剣に訴える。
「だから、あなたも義父さんに頼んだ以上、義父さんを信用してほしい。義父さんが直すって言ったのよ?……きっと、大丈夫」
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