虹の向こうに~望郷 Vol.2~

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「……まぁ、一連の行動を見てたら、俺だって信用できませんがね……」 トトが額をさすりながら、話を続ける。 「腕“だけ”は確かですから。あのオヤジ」 「聞こえてるぞー、バカ息子。“だけ”とはなんだ。“だけ”とは」 治療室の中から、義父さんが突っ込んできた。 「……真実でしょうが。ねぇ、エムさん」 「……私にふらないでください。まぁ、真実ですけどね」 「エムちゃんまで、ひどっ!!」 え、え~っと……。なんか話をすればするほど墓穴掘ってるような気がしてきたんだけど……。 「と、とにかく義父さんを信用して任せて欲しいの。それと……」 女性の手をそっと握る。 「あなたも休もう? 治療が終わって、あの子が目醒めたとき、お母さんが元気で側にいてくれるのが一番だから。ね?」 女性がじっと私を見つめた。 「……あんたって」 「え?」 それだけ言うと、崩れ落ちるように女性が倒れかかってきた。 「あ、え? え? ち、ちょっと!? あわっ!? お、重い!?」 あっという間に、女性の下敷きになってしまった。
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