虹の向こうに~望郷 Vol.2~

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「……どうやら、張り詰めてたものが切れたようですね」 トトがよっこらせと言いながら、女性を肩に担いだ。 「トト?」 「叩き出したりしませんよ。ベッドに寝かせるだけです。少なくとも、子供の治療が終わるまでは、ね。いいですよね? エムさん?」 女性から銃を取り上げ、エムに渡しながら、トトがそう言った。 「……仕方ありませんね。まぁ、武器も取り上げたことですし」 「……二人とも」 「また、お嬢からデコピンくらうのは正直勘弁ですしね」 トトがニヤリと笑う。 「……たしかに」 エムもクスクスと笑う。 「……まったく。お嬢ってホント……最強です。いろんな意味で」 ……そんなお嬢だからこそ、愛しいんです。俺は。 「え?」 「べっつにぃ~。なんでもありませんよ」 トトが意味ありげに笑いながら、女性をかかえて、奥に消えていった……。
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