虹の向こうに~望郷 Vol.3~

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車は森の中を進んでいた。 辺りはすっかり暗くなっている。 トトが注意深く、周りを見ながら車を進めていた時――――木々の間から、何かが飛び出してきた。 「――っ!!」 慌てハンドルをきり、急ブレーキを踏む。 「どわっ!!」 ヘンリーがバウンドしながら、座席の下に転げ落ちた。 「いってぇ~。なんだよ!? 急に!?……あたぁ~。鼻、打った……」 顔面をさすりながら、身体を起こしかけた時、後部座席のドアが開く音がした。 「あ?」 間抜けな声を出しながら、ヘンリーが前を向くと、目の前に銃口が突き付けられていた。 「……はい?」 なおも、間抜けな声を出すヘンリー。 「動かないで!」 子供を抱き抱え、薄汚れた女性が、ヘンリーを睨み付け銃を向けていた。 「そのまま……! 黙って、私達をこの近くにある診療所まで案内しなさい!」 女性が、トトに向かってそう言った。 「あ~。え~っと……」 その診療所は、俺んちです。 ヘンリーは心の中で、そう突っ込んだのだった……。
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