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“少し寝て来ます”
トトがそう言って、仮眠をとりに行った後も私は女性の側にいた。
女性はよく寝ている。
ふと、子供のことが気になって、部屋を出た。
部屋を出て、治療室の前に来ると、廊下に置いてある長椅子に義父さんが寝ていた。
エムが、そっと義父さんに毛布をかけていた。
「ドロシー様」
エムが私に気付き、声をかける。
「……あの子の治療、終わったの?」
「ええ。ヘンリー様の話だと大丈夫なようです」
「そう。良かった」
「使用されたアヘンの量がギリギリのラインだったからなんとかなったそうです。……痛みを押さえるためとはいえ、幼い子供にアヘンを使用するなんて、正気の沙汰とは思えません」
エムの口調が厳しくなる。
「あの二人……目が醒めたら、別の病院に移しましょう」
「え?」
「ここでは、薬物中毒専門の治療はしていませんから」
有無を言わせないエムの言い方に納得出来ず、反論する。
「ち、ちょっと待ってよ。病院を変えるのはいいけど……それじゃ、あの二人は……」
「おそらく“軍”に通報されるでしょうね」
「そんな!?」
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