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「……ごめん。エム」
エムの動きが止まる。
エムは振り返らない。
「……言い過ぎた……から」
エムの背中に、ポツリと言った。
エムが振り返る。
つかつかと私の方に近づき、えいっと言ってデコピンをした。
「……にゃっ!?」
突然のことに、奇声をあげて額を押さえる。
「……お返しです」
童女のように笑うエム。
「……私は、ドロシー様の優しいところが大好きです」
「……は?」
「ドロシー様の誰に対しても、別け隔てのない優しさが大好きです。レジスタンスに対しても、もと“特務諜報部員”だった私に対しても、あなたは、ごく自然に受け入れる。あなたのそんなところが愛しくて愛しくて堪らない」
……あ、あの~。エム。急に何言うの?
ていうか……照れるから。それ。
でもって、はずい。
やめて。顔、真っ赤になる。
私の動揺を知ってか、知らずか、エムは微笑みながら続ける。
「そんなあなただからこそ、私の全てをかけて守りたい。……あなたの安息の日々を壊させはしない。誰にも邪魔はさせない」
エムの言葉に熱がこもる。
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