虹の向こうに~望郷 Vol.3~

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「……ごめん。エム」 エムの動きが止まる。 エムは振り返らない。 「……言い過ぎた……から」 エムの背中に、ポツリと言った。 エムが振り返る。 つかつかと私の方に近づき、えいっと言ってデコピンをした。 「……にゃっ!?」 突然のことに、奇声をあげて額を押さえる。 「……お返しです」 童女のように笑うエム。 「……私は、ドロシー様の優しいところが大好きです」 「……は?」 「ドロシー様の誰に対しても、別け隔てのない優しさが大好きです。レジスタンスに対しても、もと“特務諜報部員”だった私に対しても、あなたは、ごく自然に受け入れる。あなたのそんなところが愛しくて愛しくて堪らない」 ……あ、あの~。エム。急に何言うの? ていうか……照れるから。それ。 でもって、はずい。 やめて。顔、真っ赤になる。 私の動揺を知ってか、知らずか、エムは微笑みながら続ける。 「そんなあなただからこそ、私の全てをかけて守りたい。……あなたの安息の日々を壊させはしない。誰にも邪魔はさせない」 エムの言葉に熱がこもる。
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