虹の向こうに~エピローグ~

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“オズ”から信頼されるため、より大きな情報とたくさんの情報が必要だった。 女は無理をした。 レジスタンス達にばれるのに、時間はかからなかった。 自身がスパイだと知られ、処分されかけた時、女は全てのプライドを捨て、自身と我が子の命乞いをした。 そんな彼女に、レジスタンス達は、あることを持ちかけてきた。 “オズ”の……“軍”からの情報を流せ。 逆にこちら側の情報は、偽のものを流せ――と。 “オズ”への裏切りと二重スパイの誘い。 自分が泥沼にはまるのがわかっていても、女に選択権などなかった。 拒否すれば、自身と我が子は殺される。 受け入れるほかなかった。 “軍”とレジスタンスとの息の詰まるような情報戦。 その真っ只中に放り出され、まるで綱渡りするかのような毎日に、女は少しずつ心がすり減っていくのを感じていた。 そんな生活の中、子供の存在だけが、唯一の安らぎだった。 レジスタンスから与えられたあの村の小さな家で、表向き夫を亡くし、子供を育てる健気な女を演じながら、“軍”とレジスタンスとの危険な橋渡しをしていた。
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