虹の向こうに~エピローグ~

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廊下から足音が聞こえてきた。 「あ、目が覚めたんだ」 それは、あの少女。 皆がドロシーと呼んでいた少女だった。 「あ……! あのね、あなたの子供、大丈夫だから。後で、会いに行こう!」 まぶしいような、笑顔を向ける。 全ての人が、魅了して止まないような、輝くような笑顔。 女はじっと少女を見つめる。 「……あ~、え~っと……どうしたの?」 少女が困ったように首をかしげる。 「……なんでもないわ。……そう。あの子、大丈夫なのね」 「良かったわね」 「……ええ」 廊下からまた足音が聞こえてきた。 「……お嬢!? 起きてたんですかっ!?」 「……トト、そのムカつくくらいの驚きようはなんなの?」 「……そりゃ、ドロシー。お前が自主的に起きてくるのが珍しいからだろう?」 ヘンリーがトトの後ろから顔を覗かせた。 「……義父さんまで、そういうこと言いますか?」 「昨日、パパのこと“いい加減”って言ったお返しだよ~ん」 ヘンリーが、笑う。 そこへ、また別の足音。 「皆さん」
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