虹の向こうに~エピローグ~

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そこには、妙齢の美女が立っていた。 「患者さんの前では、お静かに」 「あ、そうね。ごめんなさい」 くるりと女に向き直り、また輝く笑顔をする。 ――女は思う。 ――この笑顔が、絶望に歪むさまを。 それを考えるだけで、ぞくぞくする。 ――歪んだ悦楽。 壊してあげる。 あなたの何もかも。 「ねえ」 少女が女に話しかける。 「名前、教えてくれない?」 「……名前」 「そう。いつまでも、あなたって呼ぶのもおかしいでしょ? 名前、教えて」 ……名前。 ……私の名前は “ネッサローズ” 覚えていて。 それは、あなたから全てを奪い去る……魔女の名前。
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