閑話休題~その2~

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   騒がしい1日を終え、一人で夜を過ごしていると、声が聞こえてくる――。 ――お前一人が、幸せになるのか――と。 戦場から逃げたお前が、幸せになるのか――と。 遥か彼方では、同胞達が今も戦っている。 彼らの中には、幸せの意味すら考えることが出来ず、命を落とす者もいるというのに。 私だけが、幸せを享受することは許されるのか……?  ※  ※  ※  ※ “オズ”の研究開発センターの自分のラボで、ヘンリーは荷物をまとめていた。 そこへ、派手な足音が聞こえ、一人の美女が入ってきた。 「……来やがったな」 「……どういうことですか? ヘンリー様?」 静かに殺気をみなぎらしている。 ――う~ん……。予想通りめちゃくちゃ怒ってるな。こいつ……。すげぇ…………怖ぇ。 「……あ~。お前が耳にした情報通りだ。エム」 「………………説明を」 極力自分を押さえながら、エムはヘンリーに詰め寄る。 「え~っと。つまり……その……全部嫌になっちゃたんだよねぇ~」 かはは、とヘンリーが笑う。
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