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「胸」
「胸、じゃないっ!!」
みぞおちにすかさず肘鉄を食らわせる。
「ぐぶぉあっ!」
身体をひねらせ、間を置かずに足払いをする。
「にゃひーっ!!」
アルが奇声を発しながらその場に倒れこんだ。
「……げふーげふー。ぐぇっほっ!!……あ、朝から……容赦ないっすね……ドロシーちゃん」
「あはは。ごめんなさぁい。身の危険を感じると、つい反応しちゃうのよねぇ。身体が」
「……なんちゅうヒロインだ。テコンドー仕込みのヒロインなんて、聞いたことねぇぞ」
「新しいでしょ」
「あ、あのなぁ。それにドロシーちゃん、ちょっとひどくない? “運命の恋人”に対して、ボコるなんてさぁ~」
「……誰が“運命の恋人”?」
「んもぉう~。出会った時から言ってるじゃあん。君は俺のファム・ファタール。君に会うため俺は生まれてきた、君も俺に会うため生まれてきた、そう、俺達は遥かなる時を越えて、幾千の輪廻の果てに巡り合った“運命の恋人”だって」
いつのまにか、手を握っている。
……すげぇ。
よく噛まずにそんな歯の浮くセリフ、すらすら言えるな。ある意味感動する……。
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