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どごんっ!!!
「……ちょっ!? お前っ!?」
ヘンリーが、壁にそってへたりこむように床に座る。
その真上にエムの拳があった。
「おおおお、お前な~っ!! ああああ、危ねぇだろうがっっ!!! つか、上司の顔面をグーで殴ろうとするなっ!!!」
「“オズ”から離れようとしているあなたは、既に上司でもなんでもありません。むしろ敵です。……説明を。あなたは何を考えてるんです?“ウィザード”にもあれだけ信頼されてるというのに……。…………もしかして……バカなんですか?」
「あのなぁ……」
「…………説明を」
ヘンリーが座ったままため息をついて、髪を掻き上げた。
「さっき言った通りだよ。何もかも嫌になった」
先ほどとは打って変わった真面目な顔。
エムは、すっと腰を落とし、ヘンリーの顔を覗きこんだ。
「……フィエロ博士のことですか?」
「……フィエロは関係ない。俺がここの連中についていけなくなった。それだけだ」
――関係ないなんてあるわけない。
ヘンリーはフィエロ=ゲイルの無二の親友だった。
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