閑話休題~その2~

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一度彼女が戦場に降り立てば、血に染まる――。 敵も味方も、紅い血で染められる――。 それはまるで……紅の炎。 戦場での彼女は、全てを焼き尽くすまで止まらない。 ――彼女に対する、敬いと恐れ。羨望の裏にある軽蔑。 誰しも彼女を二つ名で呼ぶとき、少なからずそんなものが垣間見える。 ただ、この男……ヘンリーだけは違った。 皆と同じように、二つ名で呼ばれてもどこか違う。 ――お前はお前だ。 そう言っている気がした。 ……私は、仕事が中途半端にされることを怒ってるんじゃない。 勝手に置いて行こうとすることに腹が立ってるんだ! エムは、頭の上に置かれてるヘンリーの手をとった。 そして、両手で思いっきり人差し指と中指を開いた。 「あたたたたたっ! 痛いっ! エム、地味に痛いっ!」 「……決めました」 「はい?」 「私もヘンリー様について行きます」 「はいぃっ!?!?」 ヘンリーがすっとんきょうな声をあげた。 「待て待て待てっ! お前、自分が何言ってるかわかってる!? つか、何言ってんの!? この子ったら!?」
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