閑話休題~その2~

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「わかっています。もう決めましたから」 「許可が降りないだろう!?」 「あなたは?」 「俺は……条件付きで降りたよ。もう知ってるだろう?」 ヘンリーに与えられた条件……。 “軍”からの監視員付きでの生活。 自由など許されない、幽閉に近い生活。 ――それでも……そんな生活を強いられても、“オズ”にいることは耐えられなかったのだろう……この人は。 エムは、ヘンリーの手を優しく包みこんだ。 「……ヘンリー様。私の立場は?」 「……“軍”の特務機関……諜報員」 「私の二つ名は?」 「“紅煉のエム”」 「そういうことです」 にっこりとエムが笑う。 「私がその監視員になります」 「はぁ!?」 「ですから、許可はすぐに降ります。私、そういう意味では“オズ”から信頼されてますから」 「……いや、あのね、エムちゃん」 「……私がついて行って、あなたの全てを見張ってます。四六時中側にいて、あなたのこと……見つめてます。あなたの一挙一等足……この目に焼き付けます」 「……エムちゃん、それ、ある意味普通の監視員より怖いよ」
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