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朝日を背にひとつの影が空を行く。
――GPSじゃ、このあたりにおるはずなんやけどな~。
影はゆっくりとあたりを旋回していく。
――お。
荒野にぽつんとそびえる岩影に“それ”を発見する。
――よっしゃ。見つけたで~。
影は旋回しながら、降り立った。
――呑気な連中やな。“軍”に見つかったら、どないする気や?
岩影には、二人の男が眠っていた。
一人は岩に寄りかかるように眠る男。刀を抱え、膝に眼鏡を置いている。
もう一人は、焚き火の側で眠っている。少し長めの髪が、端正な顔にかかっている。
――ボディーガードの兄ちゃんとマッチョの兄ちゃんがおらへんな。
影はあたりを見渡した。
――見張りと偵察ってとこか?……んで。
もう一度ぐるりと見渡す。
――小娘はそこか。
寝ている二人から少し離れたところに張ってある天幕に、影は近づいていった。
天幕の中で、一人の少女が毛布にくるまり、眠っている。
――邪魔するで~。
影は少女に近づき、顔を覗きこんだ。
ウェーブがかった栗色の髪。長いまつ毛。
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