サザンクロス~情報屋とコウノトリ~

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……ダメだ。 ……すごい眠い。 「……ごめん。トト」 それだけ言って、ばふっと椅子にもたれかかった。 後は心地よい眠りに身をゆだねる。 「はいはい」 トトの苦笑する声が遠くから聞こえた――。 ―――― 「……お嬢?」 少し時間がたってから、トトがドロシーに声をかけた。 聞こえるのは、気持ちの良さそうな寝息だけ。 「……相変わらず、寝つきはよいですね。……寝起きは最悪ですけど」 言いながら、トトは車を停めた。 そして、ドロシーの方に手を伸ばし、髪に触れそっと掻き上げる。 軽く身を捩らせるドロシー。 「……無防備すぎなんだよ。……お前は。て、言うか俺を信用しすぎ」 ぞんざいな口調で言いながら、トトはドロシーにキスをした。 「……俺も男なんですよ。わかってるんですか?」 唇を離し、ドロシーを見つめる。 「……いつまでも、紳士でいたくない。…………でもね」 ――お嬢との今の関係を壊したくもない。 お嬢は、俺のことを“兄”くらいにしか思ってない。
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