3人が本棚に入れています
本棚に追加
ドンドン、と家の戸を強く叩く音がした。
またか。
今度は誰が来たんだろう。
少しうんざりしながら、僕は戸を開ける。
「お前が英雄の息子か」
開けた瞬間いきなり言われた。
「……そう、だけど」
僕はちょっと驚きながら答える。
英雄の息子、ね。
確かに、そうではあるけど。
でも。
戸の前に立っていたのは、僕よりもちょっと年下くらいの女の子だった。
やけに服がボロボロだ。どうしたんだろう。
多分この村の娘ではない。見覚えがない。
「英雄の、息子……」
女の子は、確認するように呟いた。
さっきは気づかなかったけど、声がちょっとかすれている。
最初のコメントを投稿しよう!