やって来た女の子

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「……何をしに来たの?」 僕は聞く。 まさか村の外からまで父さんにお別れをしに来る人なんていないだろう。 多分、父さんが死んだことを知ってるのは、この村の人達だけだ。 「私の村が、滅ぼされた」 女の子は言った。 「……2本角の狼に」 ……っ。 今一番聞きたくない名前。 僕は思わず顔をしかめた。 そんなことには気にもとめずに、女の子は続ける。 「村が無くなる前、村の人達が言ってた。2本角の狼に負けず劣らずの英雄が居る村があるって」 ……成る程ね。 「それで、狼を倒してもらいに来たの?」 僕はわかりきったことを聞く。 「そうだ。でも……」 女の子は少しいいよどむ。 「英雄は、死んだよ」 自分でも驚くくらい無感情な声で、僕は呟いた。 死んだんだ。  
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