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コン、コンと、扉を叩く音が聞こえる。 あぁ、またか。やだな。 「はい」 僕は素直に家の戸を開けた。 入口に立っていたのは、壮年の夫婦と、その息子らしき子供。 「朝早くから申し訳ない。この度は、お父上に最後の挨拶をしたく参りました」 夫の方が、厳かな口調で言った。 妻と子供の方は、今にも泣き出しそうな顔をしている。 「それは、どうも。父は、こちらです」 と、僕はその一家を家の奥へと案内した。
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