第1章  スギコ

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第1章  スギコ

 あたしは、放課後美術室で、油絵を描いていた。  そこへ、文芸部の「スギコ」が、「アブラを売りに来た」のだ。  本人いわくは「油の補給しに来てあげた」だけど・・・  あ。 「アッキー」って、あたしは「家」でも「学校」でもそう呼ばれてる。    ときどき自分で自分を、そう呼んじゃうときもある。    町野晶子(まちの・あきこ)が本名。     スギコの本名は、 「杉浦良子」   中学時代からの友人。    中学時代は、 「オスギ」  と、呼んでいた。  まあ、杉+子で平凡なニックネームだけど。      担任の国語教師 「あおべ~」  こと、「青野先生」が、  一年の一学期、  スギコが書いた 「読後感想文」  の、講評をした。 「小説の主人公の心を察していて大変よろしい!」     と、ほめた後、 「だが、最後の部分で、主人公の心理を、 「しかしながら、 『ああも考えられる。こうも考えられる』  と付け加えたのは、 「もうひとつ感心できないんだなあ。 「読後感想文は心理分析を行うものではない」     と、評して。 「過ぎたるは及ばざるがごとし」  と、「ひと言」付け加えた。    まあ、それが原因(もと)で。。。  それまで 「オスギ」  で通っていたの が、いっぺんに、「ニックネーム」は、 「スギコ」  に、代わってしまった。    オスギ  は、 「ピーコ」  と、「ふざけて」呼ばれるのを、イヤがってたから、 「スギコ」  は、案外、気にいってるらしい。
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