第2章  水晶占  

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「あおべ~」  は、黙って、ハガキをわたしてくれた。 「上村先輩」  からのもので、先生への「アイサツ」と、 「学校に一度うかがいたい」  そして、その時できれば、あたしに「会いたい」という意味のことが書いてあった。    ハガキに目をとおして、先生に戻した。 「上村と電話でも話したんだがね」  ハガキの方に目を落として「あおべ~」  が、言った。 「個人的にオレが紹介というのも変なもんだしな~。 「だが、『まじめでいい奴』だ。 「話をきいてやってくれないか?」 「クリスタル・ゲイジングですか?」 「うん。 「どうもそうらしいな~。 「『個人的な依頼』   は、断っている、そうだね。  だが、 『会うだけでもいい。五分話を聞いてくれるだけでもいい、それで断られたら、あきらめる』  といってるんで、 「一応『大先生』本人にきいいてやる、といったんだ。  ・・・   会いたくなければ、オレの方から断ってやるよ」 「いいですよ。  お会いするくらいなら」  あたしは「にっこり」して答えた。    熱心さに 「ほだされた」  といえば、きこえがいいが、実は「ちょっと興味」を持った。    学校の先輩でもあるし、 「上村純一」  という名が、(お母さんと同じように)かすかな記憶に残っているような気が、どうしてもしていたからだ。  それに、 「あたしには『直接』依頼してこない?」  ってのは、 「どういうわけ?」 「カラメテってヤツだな」  って、 「実は案外、ひっかってるw」    周到に「周囲」固めてくるって、 「策士だな」  って、スギコに言ったら、 「策士、策におぼれる。じゃなくて、『策士の策』におぼれたわけ?」  だって。  スギコは、シニックな言い方が、本当に「お得意」だ。    
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