悪魔的に優しく❤

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ついでに、取り上げた携帯をあたしの前に置いて、さっさと歩いて行く。 「え?ちょっと!」 あたしは、急いで携帯を鞄にしまって、忘れ物が無いか確認すると、銀さんの後を追った。 既に支払いを済ませてしまったらしく、もう出入口のドアを開けている。 追いついたあたしも、銀さんと一緒に店を出た。 銀さんは、ポケットに手を突っ込んで、黙々と歩いて行く。 と、いきなり銀さんが振り向いた。そして、これでもかってゆ~位、甘々な微笑みで一言、 「早く来いよ。」と言って右手を出した。 ヤバイなぁ……もうトドメじゃん……コレでギブアップしない女なんて、いる訳ないよ……。 何時迄もモジモジしてるあたしに、銀さんは、呆れ笑顔で近寄って来ると、右手で鞄を持って、左手はあたしの右手ごとポケットに突っ込んだ。 な、何か、メチャ恥ずかしいけど、嬉しいかも……。銀さんは、あたしの歩調に合わせて歩いてくれる。 「お前さぁ、俺んトコでバイトする気ねぇ?」 いきなり想像もつかない事を聞かれて、思わず立ち止まってしまった。「え…?」 「あの、アレだよ。ファイル整理とか?そ~ゆ~の、苦手なんだわ、俺。まぁ、貧乏探偵だから、携帯代位しか給料やれねぇかもだけどよ。」
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