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銀さんは、そう言ってスーツの内ポケットから携帯を出した。
「え?新しい携帯…?あれから買ったの?」
「あぁ。まぁ、いい加減、アレじゃな。仕事にも差し支えるし。」
銀さんは、ジャケットを脱いでデスクに放り投げると、左手で髪をくしゃくしゃしながら、右手でシャツのボタンを外した。そして、それも脱ぐと、ジャケットの上に重なる様に投げて寄越す。
「それ持って上に行ってろ。」
そう言うと、今迄あたしがゴロゴロしてた長椅子に横になった。
綺麗だな……あんなに何時も甘いモン食べて、ダラけてる事の方が多いのに、何て無駄の無い綺麗な体してるんだろ……。
あたしは、ジャケットとシャツを抱きしめたまま、初めて見る半裸の銀さんに、すっかり眼を奪われていた……。
「胡桃、ちょっと来いよ。」
銀さんが、ゆっくり起き上がりながら言う。
あたしは、引き寄せられる様にゆっくり近付いた。
長椅子に座り直した銀さんは、手を伸ばして荒々しくあたしを掴んで隣に座らせた。
「一回しか言わねぇから、良く覚えとけよ。
今日の俺も含めて、疲れてイラついてる男には、絶対に近付くな。」
怒ってるのか、哀しいのか解らない複雑な表情で、銀さんが言う。
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