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面白れぇオヤジ……それが、坂田銀時に対するあたしの第一印象だった……。
普段なら、ンなのシカトしとくあたしだけど、自分でも信じられない行動に出ていた。
「一人で待ってるお客さんって、後何人居るんですか?」
「え?はい、一名様ですが…。」
きょとんとした顔で店員が答える。「じゃ、あたしもう帰るんで、このオジサン座らせてあげて下さい。」そう言って、あたしは帰り支度をして立ち上がった。最後に伝票を持って歩き出したあたしの手首を、銀髪のオヤジがガッチリ掴んだ。
「お嬢ちゃん、悪ぃね。あんがと。」
そう言って、悪戯っ子の様に、ニカッと笑った。
あ…何か可愛い……単純にそう思った……。
「でもさぁ、オジサンはねぇなぁ。銀さんちょっとショック。」
「だって、オジサンじゃん。」
「これでも結構モテんだけどなぁ。ま、でも、お嬢ちゃんから見りゃ、やっぱオッサンか。」
モテる…?ん~…かもね…。良く見たら、確かに悪くない顔立ち……。「申し訳御座居ません。」
さっきの店員が、あたしの分と彼の前のグラス等を片付けに来た。
そして、直ぐに中年の男の人が案内されて来る。
「近い内に礼すっから、後で電話くれよ。」
そう言って、彼はあたしの手に名刺を乗せた。
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