あれから二月過ぎての今日

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7月。それは電気会社で働く私には、かなり厳しい季節である。 同棲しているふしだらな女子高生が言うには、「夏の仕事は事務職以外は大概キツいもんだよ。」と、やっぱり語尾に“ふしだらな”と付け足しつつ、そんな事をぼやく私に言っていた。 ……まあ、そうであろうよ。ほんの数ヶ月前までニートだった私でも、それぐらいの事は分かる。分かるのだが。暑いものは暑いし。キツいものはキツいのだよ。 「よ~し、10分休憩するか」 そう、電柱整備をしていた先輩の一言により、私はやっと一息つく事が出来た。 「おじさんはやっぱりコーヒーですか」 「……まあ、てか、おじさんって呼ぶのは止めてくれないかな?フリーター君」 「おじさんが私の事を名前で呼んで下さるのなら、考えてあげても良いですよ?じゃあ、買ってきますね」 そう言い残し、最近我が社に雇われたフリーターのアルバイトは、手を私に振りながら飲み物を買いに行った。 フリーター君と、私は彼女を呼んでいるが、前にも言った通り。彼女は女性である。それも、厳かな女子大生。 ……やたら私になついてしまって、悪い気はしないが、同僚の冷たい視線が大変痛い。しかも、あのふしだらな女子高生にこんな所を見られたら…………夏だというのに、私の背中は冷や汗で濡れていた。
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