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カシュッ!という、缶コーヒーのタブをあける音を響かせ、そのあけた缶コーヒーを一気に喉にあおる。
ゴクゴクと、私の喉は心地よい音を鳴らし、カフェインとミルクの潤いが私の喉を喜ばせる。
「ふぅ~~!生き返る!」
「おじさん。一気飲みは身体に良く無いですよ?」
コーヒーを気持ち良く飲みあげた私の隣で、ミロをしずしずと飲んでいたフリーター君にそんな小さな注意を受けた。
もはや、このやり取りも毎度の事。彼女が初仕事の時からのやり取りなので、私はあまり気にせず。いつもと同じ事を彼女に言うのであった。
「ミロを一気飲みすれば、私の気持ちも分かるだろうよ」
「絶対に嫌です」
おしまい。コレで良い。いつも通りである。
……それから、仕事を再開し、気がつけば私は帰路を歩いていた。
この時期は日が長いせいか、仕事が早く終わるような錯覚にみまわれる。まあ、錯覚なのだが。
さて、仕事も終わり。あのやたら厳かな女子大生とも別れた私は、特に寄り道もせずに、私達の暮らす家に着いていた。
「ただい……」
「おっかっえっりいいいぃぃぃーーーーっ!!」
「ちょっまっ!」
ドズンッ!鈍い音を響かせ、私は勢い良く抱き付いてきたふしだらな女子高生に床にたたきつけられた。
「お帰りお帰りお帰りいいいぃぃぃーーーっ!!!」
「痛だだだだ!」
床に倒され、胸元で頭をゴリゴリ。私は迎えられる喜び少量に無条件な痛み大量で包まれた。
……あの日から、私達は以前住んでいたアパートを離れ、今は彼女のおばあちゃんの家に住んでいる。
なぜこうなったかと言うと、私達がおばあさんの墓参りを済まし、アパートに帰ろうとした所を、このおばあさんの孫にバッタリ遭遇。墓参りの経緯を話すと、
「良かったらばあちゃんの家に住んでくれませんか?」
と、孫の爆弾発言。
理由を聞いたところ。そのおばあさんの家には、今誰も住んでおらず。取り壊す事になっていたのだが、その孫。超が付く程のおばあちゃん子で、それに大反対。で、誰か住んでくれる人を探していたところに、私達が居た。
そして、気が付いたらあれよあれよという間に、私達はおばあさんの家に住む事になったのである。
「あ、お帰りなさい」
……孫もセットで。
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