自堕落なりに

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「おじさん?何か考え事ですか?」 「おじさんは止めろ。そして、考え事だから一人にしてくれないか?」 そんな謙虚な私の態度もあってか、フリーターは「あははは。嫌です」と、すかさず却下と告げ、いつも通りに私の隣に座り、毎度お馴染みの缶コーヒーを私に手渡した。 「……前から聞きたかったのだが。なんで私につきまとう?」 「へ?好きだからですけど」 軽い告白である。 おや?おかしいな?夏だというのに、この肌を突き刺す寒さは何だ? …………同僚の冷たい視線であった。 「ふ。嘘をつくならもっと笑える嘘を……」 「いえいえ。真剣。本気。真面目。ガチな好きです。決して軽い冗談とかではないですよ?」 ガチって…………。 困ったな。私は今、別件で頭を悩ましているというのに、軽く流せない話題を踏んでしまったみたいである。 ……バファリンあったかな?
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