File ~ 綾 ~

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「あ~ぼくのふうせん」 男の子は川に気が付いて無い様で、パタパタと走り続けた 「よし!兄ちゃんがとってやる」 「おい山崎、その脚で出来る訳ねーだろ!」 私は止めたけど、タケシは止まらなかった 「大丈夫、コレ(松葉杖)あるから」 「やめろっ。私が行くから!」 ドッパアァーッン!! 「早っ!!」 イカポッポ焼きを捨た頃には、既に川に落っこちていた 「結局こうなるんだ毎回……」 「スマン……」 結局、タケシは、風船は取れなくて、びしょ濡れになって、松葉杖は流されて、松葉杖が無いから歩けなくて、鼻水は垂れ流して 「だいたいカッコつけすぎなのよ 山崎は!」 「……スマン」 「無理…しなくてイイのにさ…」 「な、なんで俺がムリしてんだよ!」 「わかるのよ~ん。どーせ女にモテたいんだろ、ダンナよぉ?」 「………お前のせいだぞ」 「? なんで」 「お前がいつも……」 「?」 「……俺のこと、運動音痴ってバカにするから……ムリしちゃうんじゃねーかよ……」 え? なんだよその言い方…… まるで私に…… 「なぁ藤咲」 「ふえ! な、なに!?」 「お前さっき『毎回』って言ったけど、前にこんな事なんてあったか?」 「俺がお前におんぶされるなんて……?」 おんぶ、びしょ濡れ、夏祭り あれ?なんかデジャヴ…… つ~かコイツってこんなに身体デカかったっけ?あれ?なんで私まで赤くなってんだろ?おかしいな? 「なぁ藤咲………」 「え?」 「……アリガト」
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