鏡に映る僕

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飯田 肇(いいだ はじめ) 25歳 しし座  僕は生まれてずっとモテたことがない。25年彼女は居ない。  学生時代は天然パーマで、背だって168cmのチンチクリンで、キモイだのオタクだのずっと言われ続けてきた。それは社会に出ても、なんら変わらない。  中規模な鉄工所で働く同僚にも、同じようなことを言われる。だけどもう今は、何を言われても傷つくこともなくなった。 悲しいけど、言われ慣れてしまったんだ。  そんな僕だって「気持ち悪い」って言われようと、恋くらいはする。いいや、したい!恋したところで、叶うことなんてないことだって分かってるんだけど。  今は家と仕事場と、往復だけの日々を過ごしている。そして週末になると、気の会う仲間とメイドカフェに行ったりゲームをしたり、平凡だけどそれなりに満足する日々だった。  そう・・・去年まではね。  去年。  会社の上司が退職するので送別会をした。その後、2次会で1軒のスナックへ行った。それ以来お気に入りとなったスナックに、月に2度程、週末になると出入りしている。  スナックがお気に入りと言うのではなく、そこに働くミサキさんって女の子が目当てなんだ。金曜の晩はほぼ出勤される。  ここ最近では、僕の一番の楽しみだ!  こー言うお店でしか、僕は女の子とお喋りできないことだって分かっている。だけど、今日も僕はそこに向かう。  ミサキさんはいつも僕に、笑顔で話しかけてきてくれる。もちろんそれが、ミサキさんの仕事だってことは知ってる。だけど彼女に恋をしていた。 すごく大好きなんだ。  仕事だって分かっていても、こんな僕にも優しくしてくれるって、思うと凄い嬉しかった。  今日は会社で嫌な事があった。そのまま帰り道、店に寄ることにした。店内に入り、僕はいつもより早いペ―スでお酒を飲む。
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