好奇心の始まり

3/40
前へ
/65ページ
次へ
しだいに、 『今、なんか音したよな?』 『熊いたらどーしよ?!』 など、冗談ではなく、本気で恐くなりだしてきた。 時間は9時、小屋の中は蒸し暑く、蚊もいて、眠れるような状況では無かった。それよりも山の持つ独特の雰囲気に俺達は飲まれてしまい、皆、来た事を後悔していた。 明日の朝までどう乗り切るか俺達は話し合った。 結果、小屋の中は蒸し暑く、周囲の状況も見えない(熊の接近等)為、山を下りる事になった。 もう内心、一時も早く家に帰りたい!と俺は思っていた。 懐中電灯の明かりを頼りに足元を照らし、少し早歩きで俺達は下山し始めた。5分ほどはハッピーとタッチが俺達の周りを走り回っていたので心強かったが、少しすると2匹は小屋の方に戻っていった。 普段、何度も通っている道でも夜は全く別の空間にいるみたいだった。 幅30㌢程度の獣道を足を滑らさぬよう、皆無言で黙々と歩いていた。 そのとき、慎が俺の肩を後ろから掴み『誰かいるぞ!』と小さな声で言ってきた。 俺達は瞬間的にその場に伏せ、電灯を消した。 耳を澄ますと確かに足音が聞こえる。 『ザッ、ザッ、』 二本足で茂みを進む音。 その音の方を目を凝らして、その何者かを捜した。 俺達から2、30㍍程離れた所の茂みに、その何者かは居た。
/65ページ

最初のコメントを投稿しよう!

42人が本棚に入れています
本棚に追加