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しだいに、
『今、なんか音したよな?』
『熊いたらどーしよ?!』
など、冗談ではなく、本気で恐くなりだしてきた。
時間は9時、小屋の中は蒸し暑く、蚊もいて、眠れるような状況では無かった。それよりも山の持つ独特の雰囲気に俺達は飲まれてしまい、皆、来た事を後悔していた。
明日の朝までどう乗り切るか俺達は話し合った。
結果、小屋の中は蒸し暑く、周囲の状況も見えない(熊の接近等)為、山を下りる事になった。
もう内心、一時も早く家に帰りたい!と俺は思っていた。
懐中電灯の明かりを頼りに足元を照らし、少し早歩きで俺達は下山し始めた。5分ほどはハッピーとタッチが俺達の周りを走り回っていたので心強かったが、少しすると2匹は小屋の方に戻っていった。
普段、何度も通っている道でも夜は全く別の空間にいるみたいだった。
幅30㌢程度の獣道を足を滑らさぬよう、皆無言で黙々と歩いていた。
そのとき、慎が俺の肩を後ろから掴み『誰かいるぞ!』と小さな声で言ってきた。
俺達は瞬間的にその場に伏せ、電灯を消した。
耳を澄ますと確かに足音が聞こえる。
『ザッ、ザッ、』
二本足で茂みを進む音。
その音の方を目を凝らして、その何者かを捜した。
俺達から2、30㍍程離れた所の茂みに、その何者かは居た。
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