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「よし、じゃぁこうしよう。カナちゃん、オカ研に入部するのだ」
そう言うなり、懐から入部届けを取り出す衣音ちゃん。
しかも、私のサインまで書いてある。
「ちょっと、衣音ちゃんいきなり何よ」
「いきなりじゃないのだ。先月から毎日誘っているじゃない。
今日こそはココに拇印を押してもらうわよ」
そう言いながら詰め寄ってくる。
「いや、だからね。その話はまた今度に……」
「今度っていつよ? 毎回そうやってはぐらかされているんだから。いい加減観念しなさい!」
いや、観念して欲しいのは衣音ちゃんの方だよ……。
「よう、また夢野を脅迫しているのか?」
この声……助かった。
「旗門、今いい所なんだから邪魔しないでよ」
衣音ちゃんが不機嫌そうに振り返る。
するとそこには男の子が立っていた。
衣音ちゃんの幼馴染でオカ研唯一の部員でもある西野旗門(にしの きもん)君。
トイガンマニアで、非公開サバイバルゲームのチーム東戦慕(とうせんぼ)にも参加しているらしい。
艶のある黒髪はぼさぼさで迷彩柄のバンダナをしている。
手には必ず指ぬきプロテクトグローブを着けているちょっと変わった人だ。
清潔感を気にする衣音ちゃんと並ぶと残念に見えてしまう男の子。
「た、助かった。助けて西野君」
それでもこんな窮地の時は西野君が天使に見える。
「邪魔しないでよ、旗門」
「良いのかよ、そんなコト言って。
せっかくネタになりそうな話見つけてきたんだがな。
あ~あ、無駄足だったか」
わざとらしく棒読み口調で大声を張り上げる西野君。
お得意の前振りだ。
「ネタ? さすが旗門。で、どんな話?」
この変わり身の早さも彼女の凄いところだ。実際見習いたい面は沢山ある。
「ここ最近、行方不明事件が近辺で多発しているだろ?
それに関してちょっとした情報が手に入ったんだ」
西野君が得意げにメモを読む。
いったい西野君は何処で調べているんだろ?
生態のわからないなぞめいた男の子の上位に位置するよね。
西野君って。
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