第1章

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  「本当? 凄いじゃない。部室に行って詳しい話を聞かせてよ」 「良いぜ、じゃあな。夢野。邪魔したな」  そう言って衣音ちゃんと共に教室を後にする西野君。  迷彩仕様のバンダナに指貫プロテクト付きグローブを常に着用しているその姿は、御世辞にもセンスが良いとは言えない。  一方質素な服装ではあっても、清潔感とちょっとしたおしゃれを気にする衣音ちゃんとのギャップは、二人が並んで歩くと見た目以上に違和感を感じるのは私だけではないと思う。  そんな2人の後姿を見送ってまもなく、再び雨音が耳に届いた。  そう、外は雨だったんだ。  放課後の活気ある部活動の時間。  天気が良ければグラウンドには運動部の声があふれかえる頃だろう。
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