22人が本棚に入れています
本棚に追加
/151ページ
梅雨時の夜は、雲の無い夜空を見上げるには丁度好い季節だと思う。
感情と言う言葉を思い出すかのように呟いた。
晴れた日は気温が高く蒸し暑ささえ感じる季節。
一転夜になると夜風が心地よい季節でもある。
『梅雨』と言うと、しとしと雨とジトジトな蒸し暑さと言うイメージがある……らしい。
『らしい』と言うのは、あまり実体験が無いからで。
親に言わせれば、梅雨と言うのはそう言うものらしいけど、私が物心付いた頃からそんなイメージを覚えるような記憶は無い。
『空梅雨』と言う言葉があるらしいけど、そんな空梅雨が続いているせいだという。
ニュースを見れば連日『異常』の文字が躍っている。
どうやら昔の人から見れば、今は『異常』な状態らしい。
くどいようだけど、『らしい』と言うのは、あまり実感が無いからで。
物心付いた頃からこの『異常』な状態が続いていれば、『正常』な状態を知らない私にとってはこれが『正常』と思えてならない。
……そう、あの出来事も同じことが言える。
事件と言えば聞こえは良い。
しかし、私にとってあの事実は別の意味を持った。
この退屈と思っていた日常、無意味と思っていた日常に光を……彩を載せてくれたの。
宇宙人との遭遇。
そんなことが本当に起こるなんて……。
私達の常識が常に正しいとは限らない。
頭ではわかっていても、実感がわかないものだ。
しかし、それを実感させてくれた出来事。
これから綴る物語はそんな事。
小さな価値観に縛られない物語……。
ここだけの内緒の話だ。
最初のコメントを投稿しよう!